雅なスプラッシュ。

確かそういう歌詞がB'zの曲にありましたが、ウチが挙げるのはクルマの方です。なんと新型にしてモノグレード展開、寸法とか燃費とか重量とか日本人にとってはメリットを感じ得ない?不思議スペックの欧州コンパクト、スプラッシュです。でもあのデザインは好きな人はハマるでしょうね。私も欧州のいろんな風を受けて作られた感じが出まくってる装備とデザインにティンときました。
寸法はパッソを背高にしたような感じで、ちまいです。見た目はモロヨーロッパの影響を受けた、それも1国でなしにという感じがします。ドイツっぽい堅実なトコもありますし、フランスっぽい遊び心も垣間見えます。これがルノーとかのディーラーに展示されてても違和感ないでしょうね。そう思うくらい欧州っぽいです。
エンジンはスイフトと同じK12Bという新開発のもの。スイフトマイチェンモデルから採用。多分M13A辺りがベースになってるんだとは思いますが、前スイフトで聞いたエンジン音は、徹底的に効率を追求した感のあるあまり好ましいものではなかった(セクシーじゃない)ので、私は「やっぱり『ご時世』なんだな」と思いました。「お前もトヨタか」(スズキのエンジンもトヨタのように無機質なサウンドになってしまったか)と思うとちと寂しいですがね。ジャンルは違いますが、ミニバンのエクシーガのエンジン音も同様。まぁ後者は水平対向という唯一無二の武器を持つので、聞くにつれ引っ掛かりの少ない吹け上がり音に慣れてくるのかもしれませんが。スレンダー萌えと同じ?w
トランスミッションは多分アイシン製辺りのCVTです。確か前スイフトに乗ったときそう聞いた気がするので。いや、あれはデミオか?デミオは確かにアイシンです。担当さんからちゃんと聞いたので。CVTとエンジンは普通のオートマ同様トルコン*1で繋いでるので、まぁまぁのアドバンテージ(優位性)かなといったところですが、意外と数字面で苦戦の、18.6km/L(10・15モード)。スイフトが20.5km/L(前同)というのを踏まえると、なんでちまいクルマが?と思いがちですが、スイフトはエンジンの載せかえで1tに抑えた反面、スプラッシュは背も高く重量も1050kgとちょい重いのです。あとチューニングが欧州仕様のままだそうで、生産も向こうらしいです。それはすなわちどういうことか?まず前者は、安全面に堅実だから日本車より確実に重くなってるということです。例として、VWPOLOは1.4Lの3ドアでさえ1110kgあります。さらにスポーツグレードのGTIになると1200kg前後あります。この重量は日本車だとハッチバックアクセラクラス(1210-1300kg)に相当します。そうやって考えていくと、世界戦略車として出したクルマに相応しい重量ともいえます。次に後者は、日本じゃちまくて重いクルマなんてスイフトほど数が見込まれないし、そんな台数で日本仕様を作るのはスズキのコストパフォーマンスとしてNGなので、ならばいっそのこと欧州仕様のままというところなのでしょう。これは予測なのではっきりしたことは言えませんが、多分スズキの実力提示というのもあるんだろうと思います。スイフトは確かによくできたクルマですが、やっぱり日本仕様車は粘り強さをPOTENZAでカバーする程度の軟さのサスですからね。面白いですよ、タイヤ換えるとクルマが変わりますから。私のスイフトは今EAGLE LS2000というコンフォートタイヤですが、車内が静かな反面崩れが早いです。フニャフニャした感じが強くなりました。多分POTENZAはいてた時と同じ走りをしたら、山陽姫路西ICで壁に激突です。グリップ感はあっても期待通りの走りは出来ない。スプラッシュにはかせているタイヤの銘柄は明日にでも見てくるつもりですが、多分スポーツタイヤのダウングレード版だろうと思います。あと欧州仕様そのまんまということで、通常の日本仕様よりカタめのサスだというのが容易に想像できます。VWのクルマには何度か乗ったことがあるので、少しは欧州車がどんなものか知ってますし、最近の日本車もコツコツいう車が出てきたので、そのくらいの硬さはあって当然だろうというわけです。
機能面の話が長くなりましたが、私はスプラッシュにシルバー系のボディカラーを設定しなかったところに好感を持っています。スプラッシュは「日本で発売するのに」万人向けをきちんと切り捨てたといえるからです。正直スプラッシュのようなポップなイメージの強いデザインにシルバー系は合わない。実際売ろうとすると絶対に欠かせないんですよ、普通は。カラーが2ケタある車種でさえ、明るいシルバーに暗いシルバーにグレーにと、似た色、しかも銀・灰系で色数を増やしています。12色あっても色鉛筆みたいなカラーラインナップになんてどの車種もなってません。正直ページを見るたび「またか」と思います。でもスプラッシュにはそれがない。しかも白がスペリアホワイトというタダで塗ってる白なんです。普通日本車は白というとパール系でお金を取ります。お金をとっても装備率の高い色ですからね。タダの白を塗ってるのは貨物と法人仕様とワゴンRのFXグレードくらいです。そんな事情の日本市場でタダの白を投入する。まぁスプラッシュの価格帯自体があまり高いものでもないからという見解もあながち間違ってないかもしれませんが、カタログを見たときハッとしました。白ってなんていい色だと。
欧州の風をモロに感じるコンパクトカー、スプラッシュ。珍しくグレードがひとつなので、オプションもカラーも自分好みに選んで、まるでお気に入りの小物や衣類のようにどこにでも、というのがとても楽しいクルマだと私は思います。単眼のホワイトメーターは200まで刻まれていますが、多分欧州でもそこまで飛ばすように想定されてはないでしょう。でも、「私こう見えても走れますよ」というささやかなアピールに見えて、ラパンやパッソに覚えるかわいさの中にも、ぬかりない安全性と走行性能への追求が詰め込まれてる気がして、そんなトコがある種「こっちが選べる」クルマかなと思ったりしています。一度はぜひ見てみてください。きっと、分かる人には分かるはず。

*1:トルクコンバーターという、オイルを利用したクラッチの一種。最近は巡航モードに入るとロックアップという、マニュアルのように直接繋ぎ合わせて少燃費化を実現する機能もある。詳しくはリンク先のキーワードやwiki先生にお聞きください。