試乗レビュー:スズキ・スプラッシュ

昨日夜遅くまで長々と書いたスプラッシュに関しまして、先程試乗してまいりましたのでレポいたします。
試乗車は最低限のオプション(マットとバイザー)だけつけたオーディオレスの青。何でもハンガリー工場では水性塗料を使用するらしく、最近のクルマには珍しく青らしい青でした。
乗り込んでみると、新型ワゴンRよりも高いくらいの、結構見晴らしがいいヒップポイント(着座位置)。インパネは低めに仕立てられており、それぞれのボディカラーに組み合わせたインテリアカラーで、内装パネルの一部がボディカラーによって違い、青の外装には青の内装パネルがあしらわれています。シートポジショニングはやり方も稼動範囲もほかの日本車と大きく変わりませんし、ボタンなどは席から近いところに集まっていて、むしろマッチョ主義に陥っている現在には希少価値のある美点ともいえます。最初違和感を感じる点としては、シフトゲートが左ハンドル向けのままになっていること。自分側に引いてRNDSLとおろしてやるようになっているため、慣れるまでは戸惑うかもしれません。まぁそもそもターゲットはストレートゲートのシフト(シフトレバーがまっすぐ上下に動くよくあるタイプ)をもつクルマばっかりが対抗馬でしょうから、この点はあまり騒ぐこともないかと思います。
エンジンをかけいざ出発。キーを差し込んで回すタイプがやっぱりいいなぁと、ほかの車に乗っているといつも思いますね。最近はアドバンスドとかスマートなんちゃらといった鍵を差さないキーシステムが流行ってますが、あれはかえって不便です。そんなことを感じながらウインカーを挙げると、なんとも面白いウインカー音がするではありませんか。説明が難しいですが、あえて音をつけたような感じでした。そのウインカーが切れ、加速を始めると、安車でないことがよく分かるしっかり感と静粛性が伝わってきます。タイヤはコンチネンタルという海外メーカー製で、その辺の安タイヤに換えたらクルマが変わってしまうこと間違いなしでしょう。突き上げも固めながら丸く、通常の道では不満のない快適性もあります。傾向として、日本車はどこかがツブれて突き上げの角を丸くする感じがするのに対し、欧州車というのはピシャッと振動を抑えて角を丸くします。どんな角でもツブせる強みがある前車ですが、安ヤワなサスペンションをどうしても使いがちになって、もしものときに対応できない弱さがあります。その点後車は角ツブしに限界がありながらも、安心感を提供できる強さがあります。その点においてスプラッシュは完全に欧州車ですね。多分肥えた人が乗れば甘さとかそういうのが分かるのでしょうが、私のような素人であれば、十分に欧州車であると感じられる出来栄えでした。
燃費ですが、バイパスのような定速巡行できる道をよく使うのであれば、かなり計測値に近い数字が出そうです。実際に試乗してみた限りでは、15〜17km/Lくらいも現実の範囲内ではないかと思います。一方で市街地走行が中心の場合も、ミスター省燃費であるFitに迫るくらいの実力は持っているでしょう。実際走り出す前の平均燃費がメーター表示で15km/L程でしたから、アクセル操作にちょっと気を使う(赤信号が見えたらアクセルから足を離すなど)だけで、他車種との計測値分の差など埋まるでしょうね。エンジン音も、低回転で発進できていることがよく分かるくらいなので、期待はしていいかなと、私は思っています。
スプラッシュの価格は「手抜きのない」税抜118万円です。長く乗ると軽四の低経費は魅力的ですが、質を求めると今や軽は軽の価格でなくなっています。そんなことを考えていると、スプラッシュは軽四を買おうとしている層へ、十分候補にしてもらえるだけの価値はあると、私は思います。小さいクルマをお求めの方、ぜひ、ぱっと見の印象が悪くなければ、候補に入れてみてください。珍しく「おすすめです」といえるクルマですので。