試乗・VOXY ZS

セレナに負けちゃいらんねぇと、ノア/ヴォクシーもFMCをということですが、やはりキープコンセプトであるが故、タウンエース/ライトエース時代からほどの変化は見られません。先代の平凡なマスクからすると、幾分アクが強いようにも見え、好き嫌いが分かれるところでしょう。まぁでもこの辺は時が忘れさせてくれる範囲内です。後ろに回るとどっかで見たことがあるような…。シエンタに似た顔をしてます。私は先代の方がヴォクシーに合ってると思いますね、ノアはこっちでいいと思いますが。

グレード展開はちょっと広くなって、先代ノアのLグレードみたいなやつ（ハンドルに木を使うとか便利装備は一通り標準とか）がヴォクシーにもラインナップされ、エンジン違いでZ系グレードも2種に。新開発のエンジンのうち多くのグレードに積まれる方は、先代のD-4エンジンと比べてパワーダウン。しかしながら低回転でトルクが太く出る設計（チューニング）になっているようで、CVTには、そしてミニバンという性格を考えても、真っ当なエンジンにしてきたようです。他方こちらも新開発のバルブマチックエンジンは、従来より若干出力アップ。重量増で先代と同等の燃費を稼いでいるということは、実質燃費向上は期待できそうな気がします。最も、D-4エンジンは直噴ゆえ、踏むとガタ落ちだったようですが。

乗り込んでみると「あれ？こんなに高かったっけな？」低いクルマばかり乗ってる小生であるが故、久しぶりに高いクルマに乗るとこういう感覚になります。でも見晴らしがよくて従来より静かな車内は快適ですね。コンプレッサーから伝導する（伝わる）振動も少なくて、同クラスとして快適性はそこそこによいと思います。

加速も従来のCVTにあったモタつきがなく、シューッとスピードを上げていきます。試乗したのはバルブマチックエンジンのSグレードでしたが、標準エンジンの他グレードも十分な加速は得られると思います。ブレーキ性能は2人乗車だったこともあり、一概に言えませんので、この辺りは実際に多人数乗車で試してみることをおすすめします。ちなみに2人だと可もなく不可もなく。フツーでした。

気になった点としては、剛性の無さ。速度が落ちたところでグッと強めにブレーキをかけると、後ろから金属のきしみ音が…。これはいただけませんなぁ。側面の鉄板も、柔軟性があるという表現をしたくなる感じだったので、この辺は改良を望むところですね。

一通り見た上での私の個人的なおすすめグレードはZかTRANS-X。バルブマチックがどうしてもと言えばZSでもまったく構うことはないでしょうが、快適に人を運ぶBOXミニバンという性格上、走りにあれこれもどうかなという感じがします。その点では一通り装備されててアルミにエアロがついてるこのグレードがヴォクシーらしさもあっていいと思います。まぁXやVを選ぶなら、私はノアにしますね。対してTRANS-Xをあげたのは、道具として面白いからです。ディーラーオプションをうまく組み合わせて、ミドルワゴンのような使い方、もしくはミドルワゴンではできない使い方で、遊びに仕事にと使い倒してみれば、なかなか面白いクルマではないでしょうか。他社（ホンダ・日産、クラス上であれば三菱なども）にはこういう設定がないので、多人数乗車は必要ないけど、中の広いクルマがほしい人はぜひ、TRANS-Xも候補にしてみてはいかがでしょうか。